誰も勝てる者のいない、抜け目のない白人の商人が
いました。 それはある日、ある人がこのワシチュウ
(白人)にこう言うまで、そう言われていたのです。
「いつでもどこででも、あんたをだまくらかせる
ヤツがいるよ。」
「そんなことがあるかい。」と、ワシチュウは言いました。
「おりゃあ交易所を持って何年にもなるし、それで
ここいらじゅうのインディアンどもを
だまくらかしてきたんだからな。」
「たとえそうでも、コヨーテならどんな取引でだって
あんたを打ち負かしてみせられるよ。」
「そいつがそう出来るかどうか、見てみようじゃねえか。
コヨーテは、どこにいるんだ?」
「むこうにいるよ。 あのずるっこそうなヤツさ。」
「ようしよく分かった、お手合わせ願おうじゃねえか。」