昔々、年とった母熊とその息子と、
年とった母ウサギとその息子の、
隣り同士の家族がありました。
二人の母たちが根菜掘りに行く間、
子供たちは家に残っておりました。
ウサギの爪は鋭いし速かったもんですから、
彼女はたくさん根菜を掘ることが出来ました。
熊のほうはというと、彼女の爪は鈍くてちっとも掘り出せず、
これでもう怒り狂ってしまいまして、
熊はウサギを殺して、根菜と一緒に家へ
持って帰ってしまいました。
小さいウサギは待っても待っても、
母親が帰って来ないわけがわかりませんでした。
しまいに彼は何か見つかるかもと、年とった熊の家を
覗いてみて、彼女が母親を料理しているのを見ました。
熊とその息子は座って、彼女を全部平らげてしまいました。
怒り心頭の彼は、復讐について考え始め、独りごちました。
「いつか、借りを返してやろう。」