昔のことですが、人間を取って喰い、
生き血を飲むのを好んだ巨人がおりました。
なかでも特別、人間の心臓が大好きでした。
「やつをやっつけられないなら、
わしらはこの地を出ていくしかねえ」
人間たちはこれをどうするか、会議を召集しました。
「俺にはあの化け物を殺す手があるよ」
とひとりの男が言いました。
そして、彼は巨人がつい最近現れた場所へ行きました。
そこで彼は、横になって死んだふりをしていました。
すぐと巨人はやって来て、男を見つけました。
「こいつはてっとり早えや、捕まえて殺す手間もねえ。
俺の通り道に入り込んで、俺が怖さに死んだんだな。」
巨人は男を触り、「ああ、こりゃあいい」と言いました。
「まだ温くて生きがいいや。うまい料理が出来そうだな。
こいつの心臓を焙るのが待ちきれねえや。」
巨人が男を肩に載せると、
男は頭を垂れて死んだふりを続けます。
男を家に担ぎ込むと、巨人は火のそばに彼を降ろしました。
それから薪がないのを見て、これを取りに出て行きました。
すぐさま男が起きて、怪物の巨大な皮はぎナイフを掴むと、
ちょうど巨人の息子が入口をくぐって入ってきました。
息子の方はまだ巨人より小さかったので、
男は彼の喉に大きなナイフを突きつけました。
「早いとこ言え、
おめえのおとっつぁんの心臓はどこにあるんだ?
言わねえと喉をかっ切るぞ!」
巨人の息子は怯えて言いました。
「おいらのおとっつぁんの心臓は、左の踵にあるんだよう。」
ちょうどその時、巨人の左足が入り口に現れました、
そこで男は一目散にナイフを踵にぶっ刺しました。
怪物は金切り声を上げてぶっ倒れ、死にました。
しかし、巨人はまだ喋ってみせました。
「おりゃあ死んだがよう、おめえが俺を殺したとしても、
おりゃあいつまでもこの世界で、
おめえら人間すべてを喰い続けてやらあ。」
「抜かしゃあがれ、
てめえがもう金輪際、誰も喰えねえようにしてやろう。」
男は言って、巨人の身体を細かく切って火で焼いて、
風に任せて灰を振り撒きました。
するとすぐに灰は蚊に変わり、灰霞は蚊の霞になりました。
そして、その中から、男は巨人の笑い声を聞きました。
「そうともよ、おりゃあこの世の終わりまで、
おめえらを喰ってやるつもりだぜ。」
怪物が喋っている間に、男は刺されるのを感じました。
たくさんの蚊が彼を刺し、血を吸い始めました。
そして、彼は自分自身をひっ掻き始めました。